指先水墨画 高畑宏

黄斑変性症とつきあいながら指先で描き続ける画家

「坂のまちアートinやつお 2016」への作品づくり

大沢野文化会館での個展を終えた高畑宏さん。

 

今後は「坂のまちアートinやつお 2016」に向けて作品を制作されておられます。

 

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縦150cm×横54cmの紙に龍を描いておられます。もちろん筆は指先です。

 

坂のまちアートinやつお

10月8日(土)-10日(祝) AM10:00-PM5:00

涙止まらぬ水墨画

本日の北日本新聞「読者のひろば」に、先日開催された高畑宏さんの指先水墨画展をご覧いただいた方からの投稿がありました。

 

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個展の模様が新聞で紹介されるのもうれしいのですが、個展を見てこのように感想を寄せていただくことはそれにも況して嬉しい、とおっしゃっておられました。

 

「雪ツバキもっと生きたいと耐えて咲く」と添えて描かれた作品の前に立ち尽くし、わが身と重ね合わせ、あふれる涙が止まらなかった。

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見え終えたとき、穏やかな笑顔の本人とお話もでき、前だけを見て、病に立ち向かうことを確認した。力強く、あったかい握手で気をいただいた。

 

(投稿から一部引用させていただきました。)

 

 

 

 

大沢野文化会館 高畑宏 指先水墨画展 盛況のうちに幕を閉じました

高畑宏さんの指先水墨画展、最終日は達磨を描かれました。

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どことなく高畑さんに似てきました。4日間の個展をされたのは今回が初めて。個展に出席されるだけでも大変なのに、毎日実演をこなされました。

 

この4日間の修行(笑)で、悟りの境地に達したのかもしれません。

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昨日描かれたパステル画はこちら

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空想を描いたものですが、陰影を墨の濃淡で表現されています。

 

今回の個展を開催する際、大沢野までわざわざ絵を見にくる人はいないだろう、と美術関係の方をはじめ多くの方からいわれたそうです。ところが連日大賑わい、高畑さんが当初見積もっていた人数をはるかに超える方々がいらっしゃったそうです。

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北日本新聞の記事を見て近所の方や学生時代の同級生が多く足を運ばれたようでした。

 

そんな中、記憶に残る出会いもあった、と高畑さんはおっしゃいます。

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黄斑変性症と肺がんを抱えられた女性がご主人さんに連れ添って会場に見えられたそうです。実演で忙しくされていた高畑さんが用を済ませるために立たれた際、ご主人さんがトイレの中まで追いかけてこられ、奥様のお話をされたそうです。

 

高畑さんと同じ目の障害に加え、同じ病いを患っておられることより、奥様は高畑さんの活動に興味をお持ちだった、とお話されたそうです。

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会場に戻ると早速奥様とお会いになり、同じ障害と病いを抱える者同士でいろいろな話をされたそうです。

 

二科展準入選した川渕大成さんとの出会いも印象に残るものだったが、今回の出会いも忘れられないものになった。記帳のお名前をじっくりながめ、高畑さんはこう語っておられました

 

さて、達磨は文字へと移ります。

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高畑さんは人差し指で絵、中指で書、と使い分けて描かれるそうです。

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文字を書く間、見ている人たちの間にも緊張が走りました。

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迷いなくまっすぐに指を下ろされ、完成です。

 

最終日、残り時間わずかにもかかわらず、新しい作品を描き始められました。

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最後のわずかの時間を惜しみ、そして楽しんでおられるかのようでした。

 

最終日の終わりは、ご協力いただいた方に高畑ファミリーを加え記念写真。

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高畑さんは、地元大沢野で個展を開催し自分が絵を描く姿を多くの方に見てほしい、という願いをずっと持っておられました。夢が実現できたこの4日間は、出会いと感動の日々となりました。

 

 

 

 

 

指先水墨画展4日目 川渕大成さん

個展最終日、川渕大成さんが見えられました。

 

川渕さんは、高校一年の時、ビジュアルスノウという目の難病を患ったのですが、高畑さんの富山県民会館で開催された個展をご覧になられたとき、たとえ目の都合が悪くても描くことができる、ということを知り、絵の道に進むことを決意されました。

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川渕さんは現在、医学関係の勉強のするため、茨城の大学に通っていらっしゃいます。昨日、東京の国立新美術館で開催された第101回二科展デザイン部授賞式に出席され、昨晩久々に実家の高岡に戻られました。

 

早速、会場で高畑さんに準入選のご報告です。

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我が子のようにかわいがっておられる川渕さんの受賞に高畑さんもお喜びのご様子でした。来月共同出展される「坂のまちアートin やつお 2016」のプロフィール受付が終わった後、今回の二科展受賞がわかったので、高畑さん自ら慌てて事務局にプロフィール追加のお願いをされたそうです。

 

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会場では多くの方に二科展や茨城での活動のご様子をお話されました。

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来月八尾で開催される「坂のまちアートin やつお 2016」では、高畑宏さん、川渕大成さんのお二人で、共同出展されます。

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大沢野文化会館での指先水墨画展3日目

高畑宏さんの指先水墨画展3日目はパステル画の実演となりました。

実演でパステル画に挑戦されるのは初めての試み。

4日間の個展で期間が長いために可能となりました。

 

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といっても、黄斑変性症により色の識別がつきにくい高畑さんにとって色選びも大変なのです。

 

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背景が仕上がった後は、指先で樹木を描かれます。

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写真手前にあるカワセミの絵が個展初日と二日目で描かれた絵。紙が大きかった上に、多くの方とお話されたため、二日間かかってしまったそうです。

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実演の際には、多くの方が質問されます。

 

なぜ指先で描いておられるの?

 

目はどれくらい見えるの?

 

それらに対し、高畑さんは丁寧にお答えされます。地元大沢野に恩を返したいから。そして、わざわざ遠くから見にこられた方に楽しんでいただきたい、という想いから。

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さて今回の個展ではロビー横に別展示もあります。

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昔の方々の話を元に明治の頃の大沢野を様子を描いた想像画。

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そして大沢野の鳥瞰図です。高畑さんは、この絵を描いた後に目の調子が悪くなってきた、とおっしゃいます。細かい作業だったので目に無理がきたのかもしれません。

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これらは大沢野町に寄贈されたもの。個展修了後も来春大沢野文化会館が閉鎖されるまでは、いつでも見ることができます。

 

川渕大成さんのコーナー

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二科展準入選の川渕大成さんは、いよいよ明日会場にいらしゃいます。

 

そうしているうちに実演はかなり進んできました。

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目が悪くならない前にいろいろなものを見た記憶を元に描いていらっしゃるので、指の筆に迷いはないのです。

 

 

 

大沢野文化会館での指先水墨画展の模様が北日本新聞に載りました

昨日より始まった大沢野文化会館での「高畑宏 指先水墨画展」の模様が今朝の北日本新聞に載りました。

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新聞では昨年、病いの告知を受けた際に手掛けた「勇虎」が紹介されていました。

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今回も個展についてご紹介していきます。

大沢野文化会館入口にある指先水墨画展の看板も高畑さん直筆。

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個展では、最近の作品を中心に50点展示されています。

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色紙コーナー

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工芸作品に形をかえたものなど

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現役時代はイラストレーター兼デザイナーとして活躍されていたのですが、その頃の作品も展示してあります。

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高畑さんは今回、多くの方とお話できることを楽しみにされていました。

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習字の先生とお話される高畑さん。絵は人差し指、文字は中指と使い分けされているそうです。

 

お話が終えた後はすぐに実演に戻られます。目の障害についで昨年見つかった病いといった絶望を味わったからこそ、個展が開催できる喜びを感じておられるのでしょう。

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この一年は薬の副作用による巻き爪やひび割れに悩まされる時期でもありました。紙に指をついたり、墨を手につけただけで激痛が走った、とおっしゃいます。

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そんな中でも、地元大沢野で少しでも多くの方に、絵と生きざまを見てほしい、そんな思いで描き続けられたそうです。

 

 

 

 

 

大沢野文化会館 指先水墨画展

大沢野文化会館での個展が始まりました。

この日を祝うかのような青空が広がりました。

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個展会場の会館ロビーでは指先で描かれた絵画が約50点飾られています。 

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高畑さんはお客様とお話されながら、合間を見て実演されました。

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地元大沢野で初めての個展のため、力が入ります。

 

 

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北日本新聞で紹介された作品。椿に自分自身を投影させたこの作品では

雪つばき まだ生きたいと 耐えて咲く

という句が添えられています。

 

個展では、高畑さんに刺激を受け絵の道に進んだ川渕大成さんの作品も飾ってあります。

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二科展準入選の作品を飾る予定にしていたのですが残念ながら間に合いませんでした。川渕さんは週末の二科展授賞式を終えた後帰省予定。個展最終日には会場にいらっしゃるそうです。

 

鯉の絵は昨年の坂のまちアートin八尾で描いた作品です。地元での開催を迎えることができ、大満足のご様子でした。

 

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個展開催中、毎日、一つの作品を指で描き上げる、とおっしゃっておられました。毎日、違う高畑さんを楽しむことができる個展となりそうです。