指先水墨画 高畑宏

黄斑変性症とつきあいながら指先で描き続ける画家

第32回 大沢野美術協会会員展 古代魚

大沢野美術協会では、会員展とチャリティ展の二つが同時開催されています。

 

会員展の出展作品「古代魚

 

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大型魚というとマス、ブリなど粋がいいものを想像しがちなのですが、そんな中で独特な雰囲気を漂わせているのが古代魚ほとんど動かないのですが、だからこそ古代から絶滅せずに生き残った歴史の重みを感じさせてくれます。

 

今回出展された「古代魚」。歴史の重みが、重厚感のある色合いと形で表現された作品です。うろのあたりのハイライトが立体感を引き立てています。

 

また、背景は流れのある線をつけることで、古代魚を引き立たせる狙いがうかがえます。ビデオ撮影した動画を早回しすると車や人といった点が集まることで線に見えてくるような効果。流れのあるものを背景に置くことで、変わらぬものが浮き出てくるのです。

 

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目の病という運命を受け入れ、やむを得ず指で描くという独特のスタイルで運命に流されずに挑戦されている高畑さん。その強い意志が古代魚に乗り移っているようにも見えてきました。

 

変化に富んだ生活を過ごしている私たち人間は、大木や山といった自然、仏像、伝統的な建造物などに癒しを感じるのですが、きっと変わらないもの、力強いものに心が吸い寄せられるためでしょう。

 

この吸い寄せられる気持ちが、美しい、と感じる気持ちなのではなかろうか。「古代魚」と、作品に並ぶ高畑さんをみて「美しい」とは何か、わかったよう気がしました。